お知らせ

 1998年の季刊・浪花ニュース(弊店が以前発行していた)に旧山陽ホテルの記事がありますのでご紹介いたします。
 浪花から要通りを抜け国道を渡ると文化会館のむこうに、外壁を淡いピンクのタイルで包む古ぼけたビルがあります。かつて東京ステーションホテル、奈良ホテルと共に旧国鉄直営の三大ホテルとして全国に知られた山陽ホテルです。明治三十五年の初代建物が火災に遭ったため、建築学会に燦然と輝く辰野金吾とその教えを継ぐ葛西万作の、当時第一級と呼ばれた辰野葛西事務所によって大正十三年に再建されました。
 関釜航路と関門連絡船の発着岸壁を近くに持つ高級ホテルゆえに、大陸や九州を往来する皇族や政府高官は必ずといってよいほど、ここを利用しました。だから、全国のマスコミ関係者敏腕記者らは競ってこのホテルに張り付いて熾烈な取材合戦を展開したそうで、ベーブルースやヘレンケラーが立ち寄った事や、藤原義江のゴシップなどもここから発信されたと伝えられています。
 また、格調の高さを守るために女性従業員の採用は家柄や教育の質にまで厳しい基準が求められ、やがて美人揃いで紫色のハカマ姿が制服だった彼女らは「紫の君」と、馬関っ子たちの憧れとなりました。
 歌舞伎座に似た浜吉旅館が消え下関警察署も様変わりして往時を偲ぶすべはありませんが、そびえ立つ海峡ゆめタワーとこのビルとの対照は新たな感慨を呼び起こしてくれます。

ご予約・お問い合わせ TEL083-231-0728 九州・山口 多言語コールセンター TEL092-687-6639

ご予約・お問い合わせの際には、弊店の店名と電話番号をお伝えください。
(海外のお客様へ)